縄文のビーナスと仮面の女神はどこで見れる?国宝土偶5体の所在

縄文のビーナスと仮面の女神の本物は、どちらも長野県茅野市の尖石縄文考古館(とがりいしじょうもんこうこかん)にあり、展示室Bに並べて常設展示されています。

ただし展覧会への貸出があると、実物は館を離れてレプリカに替わります。2026年秋は仮面の女神が新潟県の十日町市博物館に貸し出されていて、考古館で本物が見れるのは12月以降と館は案内しています(2026年10月時点)。ほかの国宝土偶3体は八戸市・函館市・山形県の館にあり、2体を1か所で見れるのは茅野市だけです。5体の一覧は記事の後半の表にまとめました。

作品(読み方)展示している館いま本物が見れるか
縄文のビーナス(じょうもんのびーなす)茅野市尖石縄文考古館(長野県茅野市豊平)の展示室B見れる。常設で、2026年10月時点は実物を展示
仮面の女神(かめんのめがみ)茅野市尖石縄文考古館の展示室B2026年10月10日〜11月23日は十日町市博物館に貸出中。考古館はレプリカ

縄文のビーナスと仮面の女神の本物が見れる場所

2体の本物があるのは、茅野市豊平の尖石縄文考古館です。館のリーフレットは、展示室Bに縄文のビーナスと仮面の女神を展示していると案内しています。2024年に開かれた仮面の女神の国宝指定10周年の特別展も、会場は同じ常設展示室Bでした。期間を区切った特別公開ではありません。

普段は2体が同じ部屋に並んでいて、開館日に行けば両方の本物が見れます。仮面の女神と一緒に国宝に指定された土器8点も、同じ館で展示されています。館の案内によると、2026年10月時点で実物が並んでいるのはそのうち7点です。

「どこで見れるか」の答えは、この1館に絞れます。迷うのは場所よりも時期のほうです。2体をそろって見るのが目当てなら、行く前に確かめるのは開館日より貸出の予定です。

出土した場所にあるのはレプリカ

仮面の女神が出た中ッ原(なかっぱら)遺跡は、いま中ッ原縄文公園になっています。考古館の解説では、土偶が見つかったときの様子をその場所のまま保存展示しているそうです。ただ、そこに置かれている土偶は実物ではありません。

公園で見れるのは、どんな穴にどう横たわっていたかという出土の状況です。本物の造形は考古館、埋められ方は公園、と目的で分けられます。

仮面の女神が考古館にいない時期(貸出と確かめ方)

考古館は「所蔵資料の貸出情報」というページに、どの資料をどこへ、いつからいつまで貸すかを載せています。不在の時期を知るには、このページを開くのがいちばん早い方法です。

2026年秋の貸出先は十日町市博物館で、秋季特別展「縄文の十字路 野首遺跡」(10月10日〜11月23日)に仮面の女神と、附の浅鉢形土器1点が出ています。考古館はこの間レプリカを展示していて、館で本物を見るなら9月27日までか12月以降に来るよう案内していました(2026年10月時点)。同じ時点の縄文のビーナスには、貸出の情報は載っていません。

逆に考えると、貸出先の展覧会に行けば本物を別の場所で見れます。十日町市博物館は、国宝の火焔型土器を含む笹山遺跡の土器を常設で展示している館です。2026年秋に十日町へ行けば、縄文の国宝2件を1館で見比べられます。火焔型土器がどこで見れるかは、火焔型土器はどこで見れる?にまとめました。

縄文のビーナスの貸出の前例

縄文のビーナスも、大きな展覧会には出ています。茅野市が2025年に出した国宝指定30周年の特集に、その年表があります。2009年は大英博物館で開かれた文化庁の海外展「THE POWER OF DOGU」。2018年には東京国立博物館の「縄文展」と、同じ年のパリ日本文化会館の縄文展に出品されました。

並べてみると、不在になるのは国宝や縄文をテーマにした大きな展覧会の年と、縁のある館の記念展に重なりやすいようです。遠方から茅野まで行くなら、出発の数日前に貸出情報のページを1回開いておけば十分。開館時間を調べるついでに、このページも見ておくのがいちばん確実です。

縄文のビーナスと仮面の女神の違い(時代・大きさ・出土状況)

同じ茅野市から出た国宝の土偶でも、2体は作られた時期も埋められ方も違います。考古館の作品解説から、比べやすい点をまとめました。

観点縄文のビーナス仮面の女神
出土した遺跡と年棚畑遺跡(1986年9月8日)中ッ原遺跡(2000年8月23日)
時代縄文時代中期(約4000〜5000年前)縄文時代後期前半(約4000年前)
大きさ高さ27cm、重さ2.14kg高さ34cm、重さ2.7kg
埋められ方遺跡の中央の土坑に寝かせるように安置墓とみられる穴が集まる場所に横たわるように埋納。右足は外れていた
顔の形ハート形のお面をかぶったような顔逆三角形の仮面をつけたような顔
国宝指定1995年6月15日2014年8月21日(附として土器8点)

縄文のビーナスは、棚畑遺跡の工業団地の造成に伴う発掘で見つかりました。考古館の解説では、腹部とお尻が大きく張り出していて妊娠した女性の姿を表しているとされ、表面は粘土に混じる雲母で金色に光って見えるそうです。

仮面の女神は、顔に仮面をつけたように見える「仮面土偶」と呼ばれる型の土偶です。考古館によると、右足は胴体から外れた状態で出てきました。割れた破片が胴の割れ口にはまり込んでいたことなどから、人の手で外した可能性があると館は説明しています。

縄文のビーナスが国宝になった理由

茅野市の30周年の特集によると、縄文のビーナスは縄文時代の出土品として最初に国宝に指定されました。特集が理由に挙げているのは、造形の進化を示す姿と、どこからどう出たかがはっきりした出土状況の両方を備えていたことです。

遺跡の真ん中の穴に、寝かせるように置かれた状態で見つかったこと。どこにどう納められていたかが分かる点も、形と同じくらい重く見られたと特集は書いています。

2体を並べると、時代の差がそのまま形に出ています。展示室Bで見比べるなら、まず顔を見てください。ハート形のお面をかぶったような縄文のビーナスと、逆三角形の仮面をつけたような仮面の女神で、すぐ見分けがつきます。

国宝土偶5体はどこで見れる(合掌土偶・中空土偶・縄文の女神)

国宝の土偶は5体あり、茅野市の2体のほかの3体は東北と北海道にあります。考古館のクイズ資料が挙げている出土遺跡と所蔵者をもとに、展示している館をまとめました。

作品出土した遺跡見れる館(所蔵の表記)道県
縄文のビーナス棚畑遺跡茅野市尖石縄文考古館長野県
仮面の女神中ッ原遺跡茅野市尖石縄文考古館長野県
合掌土偶風張1遺跡八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館(同館蔵)青森県
中空土偶著保内野遺跡函館市縄文文化交流センター(函館市蔵)北海道
縄文の女神西ノ前遺跡山形県立博物館(同館所蔵・保管)山形県

合掌土偶は、八戸市の是川縄文館が常設展示の一つとして案内しています。短い展示休止のお知らせが出ることもあり、2026年10月時点の館のお知らせでは、11月11日の午後から13日まで休止し、14日から展示を再開するとしています。行く日が決まったら、館のお知らせ欄も見ておくと安心です。

中空土偶については、函館市が広報誌の2025年1月号で、縄文文化交流センターが中空土偶を中心に市内の出土品を展示していると紹介しています。縄文の女神は山形県立博物館が所蔵・保管していて、館では縄文の女神の展示解説会も開いています。

5体は北海道・青森・山形・長野の4道県に分かれていて、一度の旅で回るのは距離を考えると現実的ではありません。2体をまとめて見れる茅野をまず押さえ、残りの3体は旅行先に合わせて1体ずつ、という順がいちばん無理のない回り方です。

各地で開かれる「国宝土偶5体」の展示には、福島市が2020年に開いたようにレプリカで構成したものもあります。本物かどうかは、案内に「レプリカ」とあるかで見分けられます。

茅野市の2025年の特集によると、縄文時代の国宝は全国で6件しかなく、そのうち2件が見つかっているのは茅野市だけです。土偶を目当てに1か所だけ選ぶなら、尖石縄文考古館です。

参考