風神雷神図屏風はどこにある?本物は京博に寄託・建仁寺は複製

俵屋宗達の風神雷神図屏風(国宝)は京都・建仁寺の所蔵ですが、本物は京都国立博物館(京博)に寄託されていて、建仁寺で見れるのは高精細複製の屏風です。本物が出るのは京博の展覧会などで期間を限ったときだけで、いつ行っても見れるわけではありません。

2026年10月時点で、京博が公表している2027年12月までの展覧会の予定にも、宗達の風神雷神図屏風の名は見当たりません。同じ図を写した尾形光琳の屏風は東京国立博物館(東博)、酒井抱一の屏風は出光美術館の所蔵です。出光美術館は2026年10月時点で建替えのため長期休館中なので、東京で見る機会を探すなら、光琳の屏風が先になります。

作品(読み方)所蔵・所在見れる場所と形作者・時代大きさ(各)指定
風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)建仁寺の所蔵、京都国立博物館に寄託京博の展覧会で期間限定俵屋宗達・江戸時代17世紀縦154.5cm 横169.8cm国宝
風神雷神図屏風の高精細複製建仁寺寺内で展示(2026年10月時点)---
風神雷神図屏風東京国立博物館東博の展示予定で確認尾形光琳・江戸時代18世紀縦164.5cm 横182.4cm重要文化財
風神雷神図屏風出光美術館(2026年10月時点で建替えのため長期休館中)再開時期は未定酒井抱一・江戸時代19世紀縦170.7cm 横170.2cm-

風神雷神図屏風の本物はどこにあるか

「どこにある」への答えは、建仁寺と京都国立博物館の2つの名前で覚えるのが正確です。

建仁寺の公式サイトは、宗達筆の風神雷神図屏風を寺の文化財として載せ、そのうえで「現在は京都国立博物館に寄託しており」と書いています。寄託は、持ち主が所有権を手放さずに、保管と展示を博物館に任せるやり方です。持ち主は建仁寺、置かれている場所は京博という関係になります。

京博も、この屏風を自館の名品紹介に載せています。ただし所蔵の表記は「京都・建仁寺」で、京博の持ち物として紹介しているわけではありません。京博の展覧会の出品一覧でも、所蔵者は建仁寺と書かれています。

「建仁寺にある」と「京博にある」は、どちらも半分ずつ正しい答えです。本物を見たい人にとって大事なのは置き場所のほうです。建仁寺に足を運んでも本物には会えません。

京博に預けられていても、いつも展示室に並んでいるわけではありません。京博の名品紹介に載っていることと、その日に展示されていることは別なので、公開の予定を確かめてから出かけてください。

建仁寺で見れるのは高精細複製

建仁寺は公式サイトで「建仁寺では、高精細複製作品の屏風画が展示されております」と案内しています(2026年10月時点)。寺に行けば風神雷神図屏風は見れますが、それは本物を精密に写した複製です。

複製ですが、本物を持つ寺の中でこの図柄を前にできるのは、建仁寺ならではです。二曲一双(2枚折りの屏風が左右1組)の左右に風神と雷神が分かれ、その間にどれだけ金地が空いているのか。そうした構図のつかみ方は、複製でも十分にできます。

複製の制作者や、寺のどの部屋に置かれているかは、寺の文化財のページには書かれていません。拝観の条件は寺の公式サイトで確かめてください。

行き先は目的で分けるのがよいと考えます。

図柄をじっくり眺めたい、建仁寺という寺の中で見たいなら、建仁寺の複製で十分です。金箔の光り方や絵具の盛り上がりなど、本物の物質感を見たいなら、本物が公開される機会を待つことになります。両方を見ておくと、複製で全体の構図を頭に入れ、本物では細部に目を向けられます。

本物が見れた展覧会と、次に見れる時期の調べ方

宗達の風神雷神図屏風は、京博の大きな特別展で出品されてきました。京博の公式資料で確かめられる最近の2回をまとめます。

年展覧会(会場)会期宗達の屏風の展示
2015年琳派誕生400年記念 琳派 京を彩る(京都国立博物館)10月10日〜11月23日10月10日〜11月23日(全会期)
2025年大阪・関西万博開催記念 特別展 日本、美のるつぼ(京都国立博物館)4月19日〜6月15日出品番号36として出品

2015年の「琳派 京を彩る」では、宗達の屏風が全会期を通して出ていました。京博の展覧会ページによると、光琳の屏風は10月10日〜11月8日、抱一の屏風は10月27日〜11月23日の展示です。展示期間を重ねると、10月27日〜11月8日は3点が同じ会場にそろっていたことになります。

2025年の「日本、美のるつぼ」では、出品一覧の36番に宗達の屏風が載っています。37番は酒井抱一の夏秋草図屏風(東京国立博物館蔵)でした。この絵は、もともと光琳の風神雷神図屏風の裏に描かれたものです。

次の公開はどうか。2026年10月時点で京博の展覧会の一覧に載っている特別展は、「源氏物語 王朝のかがやき」(2026年10月6日〜11月29日)と、2027年の「大狩野派」「薩摩島津家八〇〇年」です。2027年3月までの名品ギャラリーと特集展示も並んでいます。そのどれにも宗達の風神雷神図屏風の名はなく、2027年の特別展は出品一覧も載っていません。

近世絵画の部屋で「建仁寺の障壁画」(2027年2月9日〜3月22日)が予定されていますが、出品作に風神雷神図屏風が入るかは一覧からは分かりません。

調べ方は単純です。京博の展覧会ページを開き、気になる展示の出品一覧(PDF)で「風神雷神図屏風」を探します。展示替えがある展覧会では、出品一覧の展示期間の欄まで確かめてください。2015年と2025年の例を見るかぎり、宗達の屏風は琳派や日本美術を広く扱う京博の特別展で出ています。そうした展覧会の発表を見逃さないのが近道です。

京都の寺の国宝が秋に期間を限って公開される特別公開は、京都非公開文化財特別公開の記事にまとめています。

光琳と抱一の風神雷神図屏風はどこにある

風神雷神図屏風は1点だけではありません。宗達の屏風を尾形光琳が写し、その光琳の屏風を酒井抱一がさらに写しました。3点は所蔵先がばらばらです。

光琳の屏風は東京国立博物館の所蔵で、重要文化財に指定されています。文化遺産オンラインの解説によると、光琳は宗達の屏風を忠実に写しながら、雷神の視線を風神に向けるなどの違いを入れたそうです。この屏風の裏には、のちに抱一が夏秋草図屏風を描きました。今は2つの屏風に分けられています。

抱一の屏風は出光美術館の所蔵です。出光美術館の解説では、抱一は光琳の屏風を写したうえで、二神の位置や雲の動きを変えているといいます。恐ろしいはずの神が、軽やかで親しみやすい姿になっているという説明もあります。出光美術館の紹介ページには、国宝や重要文化財の表示はありません。

宗達の屏風が国宝、光琳の屏風が重要文化財という違いの意味は、国宝と重要文化財の違いの記事にまとめました。

大きさも3点で違います。宗達の屏風は各縦154.5cm、横169.8cmです。光琳の屏風は各縦164.5cm、横182.4cmで、縦も横も宗達より10cm以上、一回り大きい屏風です。抱一の屏風は各縦170.7cm、横170.2cm。横幅は宗達とほぼ同じで、縦だけが16cmほど高く、3点の中で一番背の高い屏風になっています。図版で見比べているだけでは気づきにくい点です。

出光美術館は2026年10月時点で長期休館中です。館のよくあるご質問によると、ビルの建替えに伴う休館で、工事は2025年度から2030年度の予定。建替え後は同じ場所で再開する予定だそうです。休館中は、東京都三鷹市の「出光美術館・展示室」で陶磁器のコレクションを、北九州市の出光美術館(門司)で出光コレクションを公開しています。

所蔵先で数えると、3点は京都に1点、東京に2点です。ただ抱一の屏風は館が休館中なので、東京で風神雷神図屏風を見たいなら、東京国立博物館の光琳の屏風が候補になります。展示の時期は東博の公式サイトで確かめてください。

所蔵先が3か所に分かれた別の国宝は、曜変天目の3碗の記事で見れる場所をまとめています。

風神雷神図屏風の作者・時代・大きさ・読み方

読み方は「ふうじんらいじんずびょうぶ」。京博の名品紹介も、この読みを添えています。

京博によると、宗達の屏風は二曲一双、紙本金地著色(金地の紙に絵具で彩色)で、時代は江戸時代17世紀です。大きさは左右それぞれ縦154.5cm、横169.8cm。建仁寺の公式サイトの数字も同じです。

作者の俵屋宗達について、京博の解説で面白いのは、この屏風に款記(署名)も印章もないという点です。それでも宗達の作と広く認められている、と京博は説明しています。作者の手がかりは、署名ではなく画風そのものにあるわけです。

京博の解説は、金箔の地についても触れています。金地が果てのない奥行きを感じさせる空間をつくり、その空間に鬼神が現れるという表現を支えている、という趣旨です。本物を見る機会があれば、二神より先に、間に広がる金地を眺めてみてください。京博の説明がよく分かります。

見に行く前に確かめること

宗達の本物を見たいなら、まず京博の展覧会ページで出品一覧と展示期間を確かめましょう。2026年10月時点の予定には名前が無いので、次の発表を待つことになります。

ほかの2点は、光琳の屏風なら東博の展示予定を確かめ、抱一の屏風は出光美術館の再開を待つことになります(2026年10月時点)。

京都で一日に組むなら、京博で宗達の屏風が公開されている期間に合わせ、同じ日に建仁寺の複製も見る順が無理がないと考えます。本物で細部を、複製で全体の構図を、と見比べられます。順番は、先に建仁寺の複製で二神と金地の配置を頭に入れてから京博へ向かうほうが、本物の前で金箔や絵具の細部に目を向けやすいはずです。

建仁寺の拝観の条件は、出かける前に寺の公式サイトで確かめてください。京都で世界遺産と組み合わせて回る順番は、京都の世界遺産を一日で回る記事にまとめました。

参考